2007年2月18日
「第13回 市民環境活動報告会」で事例発表を行いました。
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子どもたちと地球の未来のために
人づくり・地域づくり
気づき・考え・行動する環境教育実施事例報告
特定非営利活動法人アース・エコ
代表理事 北村博子 |
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写真1 |
1.はじめに
平成13年8月、第1回「親と子の楽しい省エネ教室」の開催から活動を開始したアース・エコは、平成18年1月「特定非営利活動法人アース・エコ」を設立、環境教育を中心に環境保全普及啓発活動を地道に継続推進しつつあります。
小学校における温暖化対策環境教育として、少(省)エネルギー・新エネルギー・自然エネルギー実験に依る体験、家庭での少エネルギー実践行動体験から実践行動の継続に向けて、児童自らの気づき・思考から主体的に行動に移せる人づくり・環境教育を志向しています。
児童自らによる、少エネルギー行動目標設定と実践を伴う平成18年度実施環境教育3事例を紹介し、子どもたちが教えられるのではなく、自らの実践体験から獲得した気付きと思考力から醸し出される興味深いメッセージを受け取って頂き、『(環境)教育とは、教えることではなく学び教えられること』の示唆するものをご理解頂ければ幸いです。 |
2.実施事業の概略
2.1.実施事業紹介
自主事業:「親と子の楽しい省エネ教室」
協働事業:「学校ISO 応援事業(フィフティフィフティ事業)」(横浜市環境創造局)
委託事業:「グリーン教育支援制度環境教育」(神奈川県環境農政部環境計画課)
「環境教育・S 小学校3カ年」(横浜市立S 小学校・温暖化対策環境教育(県委託事業))
支援事業:「温暖化対策環境教育」出前講座(横浜市環境創造局)
共同事業:「子ども環境体験教室」(神奈川県環境科学センター)
参加事業:「エコライフフェア」(環境省)「アジェンダの日」(県環境計画課)
「親子で楽しむ環境展」(神奈川県、神奈川県環境学習リーダー会等) |
3.温暖化対策環境教育の実施事例
3.1.事業概略
実施期間:平成18年6月~11月(19年2月)
実施時間数:2時間*2日間(少エネ実践期間1ヶ月~2ヶ月を間に要す)
実施対象学校:横浜市立小学校3(4)校
実施対象学年:第5学年(2校):3組:101名、3組:98名、
第4学年(2校):3組:92名、(3組:104名)
3.2.環境教育プログラム:1日目
実施形態:1学年3組を2班に編成、各班8グループに編成し、各グループを5
名~7名に編成。各グループには、スタッフが参加し、児童のグループワークを支援する。
3.2.1. 地球温暖化DVD 視聴
3.2.2. 地球温暖化シミュレーション〔1950~2100年〕映写
3.2.3. 電気(実験)の説明
3.2.4. 電気の実験〔2グループ一緒に、5分間程度次表4項目の実験体験〕
@ 電気の働き: 手回し発電機で実験・体験
A 手回し発電機何個で20W 白熱電球,8W 蛍光灯を点けられるか(写真1)
B 照明消費電力比較
C 待機時消費電力計測
3.2.5. エコカルタ取り: 環境保全活動の実践参考事例〔解説付き〕
3.2.6. グループワーク:少エネ実践行動目標について
3.2.7. 少エネ実行計画:実践行動目標設定及び少エネカレンダーの作成。
3.3.プログラム1日目と2日目実施の間の1 ヶ月~2ヶ月間は、児童が自ら設定し
た少エネ実践行動目標を各家庭で実行する。
プログラム2日目実施日の1 週間前、少エネカレンダーを回収し、記録カレン
ダーを整理して、プログラム2日目に実践結果を児童にフィードバックする。
3.4.環境教育プログラム2:2日目
実施形態:1日目に同じ。
3.4.1.新・自然エネルギー実験〔電気の実験と同様に、4項目の実験体験:表2〕
表2〔新・自然ネネルギー実験体験項目〕
@ 太陽光発電実験( 雨天時室内: 電気使用)
A 燃料電池発電実験( 雨天時室内: 電気使用)
B 風力発電実験( 雨天時室内: 電気使用)
C ソーラークッカー実験( 雨天時室内: 電気使用)
3.4.2. 少エネ実践結果報告
3.4.3.WS:実践して気づいたこと、考えたこと、大切だと思ったこと、工夫したこと、此れからのこと等を、ポストイットに書き出し、各グループ毎にテーマを纏める。
3.4.4. 少エネ継続目標設定:少エネカレンダー作成
3.4.5. 少エネの環カード作成:少エネ普及啓発カードを学校友人・地域知人宛に作成
3.4.6. 振り返り感想文記入:〔5.1.1.、5.1.2. 、5.1.3. 、5.1.4.、5.2.、5.3.〕 |
4.温暖化対策環境教育:少エネ実践結果
実施対象:横浜市立Y 小学校第4学年3組92名、実施期間:6月23日~7月11日
:横浜市立I 小学校第5学年3組101名、実施期間:7月14日~9月13日
:横浜市立N 小学校第5学年3組98名、実施期間:10月18日~11月9日
4.1. 少エネチャレンジ目標:学校毎の児童の設定に依る目標の纏め〔図1-1,2-1,3-1〕
4.2.少エネチャレンジ結果:学校毎の児童の少エネ実践記録の纏め〔図1-2,2-2,3-2〕 |
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図1−1 |
図1−2 |
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図2−1 |
図2−2 |
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図3−1 |
図3−2 |
5. 温暖化対策環境教育:少エネ実践感想
5.1.少エネチャレンジをした感想〔回答数:3校:274〕
5.1.1.少エネチャレンジをして楽しかったこと(有効回答数:202)
表3〔「少エネチャレンジをして楽しかったこと」の上位回答〕
@自分の目標が達成出来た時、チャレンジするところ、頑張って出来たこと:20名
A少エネは、むずかしいけど楽しかった:19名
B研究したり、自分で考えたところが楽しかった:14名
C自分たちのやったことが、地球に優しいことと思うと楽しくなる:14名
D家族皆とやったこと(両親が進んでやってくれてうれしかった):10名
E毎日つづけていたら楽しくなった:4名
F少しずつ、こまめにやっていくところが楽しかった:3名
5.1.2.少エネチャレンジをしてむずかしかったこと(有効回答数:230)
表4〔「少エネチャレンジをしてむずかしかったこと」の上位回答〕
@目標を忘れずにすること:40名
A毎日こまめに少エネする事、慣れる迄大変:29名
Bいつもいつも、毎日続けてやること:22名
C記録をつけること:7名
D考えるのがむずかしかった:5名
5.1.3.少エネチャレンジを続けるために大切だと思ったこと(有効回答数:232)
表5〔「少エネチャレンジを続けるために大切だと思ったこと」の上位回答〕
@毎日続け習慣にすること、あきらめず根気よく続けること:52名
Aつねに意識しやるという気持ち、地球を大切にし守ることを意識すること:50名
B皆で協力すること(世界の皆、近所、家族):24名
Cどんどんいろいろな人、皆につたえていくこと:10名
D自分が出来ることを面倒くさがらずやること:5名
5.1.4.少エネチャレンジを続けるために工夫したこと(有効回答数:222)
表6〔「少エネチャレンジを続けるために工夫したこと」の上位回答〕
@家族皆で協力してやる:20名
A少エネ目標を紙に書いて、見える所、壁などにはった:17名
B買い物に、マイバッグを持っていったこと:8名
C目標を持って意識すること:6名
D楽しく、自分からすすんでやること:3名
5.2.少エネ実践への家庭の協力〔有効回答数:247〕
5.2.1.協力をして貰いました:97〔21:57:19〕
5.2.2.協力した人、協力しない人がいました:70 〔22:22:26〕
5.2.3.協力して貰えませんでした:80〔21:15:44〕
5.3.少エネ継続実践行動目標〔有効回答数:245 (内、上位項目)〕
電気:96名水:54名残食/ゴミ:43名暖房:8名交通:7名 |
6.おわりに
実践環境教育参加児童に依れば、「少エネ」とは、「慣れないこと」「大変なこと」で「すぐ忘れる」が、「続ける事」で「習慣」にして、「家族の皆で協力」し「皆に広めること」が大切なことであります。「新エネルギー・省エネルギー実験」体験に始まる、児童自身による少エネ目標の設定と実践による環境体験教育は、参加児童の振返り感想にもある通り、児童の少エネ実践行動による「気付き・思考」から始まる、新たな実践行動への反映を、家庭内に止めず地域への働きかけを推進して行くことによって、学校に軸をおいた環境教育の地域への展開を可能にしたいものです。 |
(参考情報 第13回市民環境活動報告会) |